絶対に押さえておきたい!「損益計算書(P/L)」の見方と活用法
はじめに
「売上はあるのに全然お金が残らない…」
「損益計算書、数字が多すぎて意味がわからない…」
こんな悩みを抱えていませんか?
実は、損益計算書(PL)の基本を押さえるだけで、経営の見え方が大きく変わります。
「何にお金を使いすぎているのか」「どこを改善すれば利益が増えるのか」がわかるようになるのです。
今回は、事業を始めたての人でも今日から活用できる「損益計算書」の見方と使い方をわかりやすく解説します。
1. 損益計算書(P/L)って何?
損益計算書(P/L(ぴーえる):Profit and Loss Statement)は、「事業でどれだけ儲かったか」を示す書類です。
簡単に言うと、「売上 − 費用 = 利益」を計算したもの。
会社の経営状況を知るうえで、最も基本となる財務書類です。
■ 損益計算書の基本構造
売上高
− 売上原価 ➡ 商品・サービスを提供するために直接かかった費用
= 売上総利益(粗利)
売上総利益(粗利)
− 販売費および一般管理費(販管費) ➡ 本業以外の収入・費用(利息収入、借入利息など)
= 営業利益
営業利益
± 営業外収益・営業外費用 ➡ 本業以外の収入・費用(利息収入、借入利息など)
= 経常利益
経常利益
± 特別利益・特別損失 ➡ 臨時の収益や損失(固定資産の売却損益、災害損失など)
= 税引前当期純利益
− 法人税等
= 当期純利益
2. 損益計算書で押さえておくべき3つのポイント
初心者でもまずはこの3つを押さえればOK!
(1)売上総利益(粗利)
→ 「商品・サービスを売っていくら儲けたか」を示す数字。
- 「粗利率(=売上総利益 ÷ 売上高 × 100)」が低いと利益が出にくい。
- 小売業なら30〜40%、製造業なら20~30%が目安ですが、同業でも収益構造によって利益率は大きく異なるので、あくまで目安です。
例:
1個1,000円で仕入れた商品を2,000円で売った場合、粗利は1,000円、粗利率は50%。
(2)営業利益
→ 「本業でどれだけ稼げたか」を示す数字。
粗利から人件費や家賃などの経費を引いたもの。
- 営業利益がマイナスなら「本業が赤字」状態。
- 黒字でも「粗利が足りない」か「固定費が高い」場合は要注意。
(3)経常利益
→「 本業以外も含めた会社全体で通常の活動でどれだけ稼いだか」を示す
- 利益がプラスでも、「キャッシュが増えていない」ことがある(後述)。
- 経常利益から特別利益・損失を加減すると税引前当期純利益
- 法人税等を差し引くと、企業の最終利益である「当期純利益」となる
- 個人事業主の場合、経常利益が(ほぼ)青色申告特別控除前の所得になる
3. 「利益が出ているのにお金がない」のはなぜ?
よくある疑問がこれです。
原因として多いのは以下の3つ:
- 売掛金の回収遅れ → 売上計上しても、現金がまだ手元にない。
- 在庫の増えすぎ → 先にお金を使って仕入れた・製造したものが、お金に変えられていない。
- 借入金の返済 → 元金返済は損益計算書に反映されない。
ワンポイント:
PLは「利益」を示すが、「現金の動き」は別問題。これがキャッシュフロー管理の重要性につながります(次回で詳しく解説)。
4. PLを使って利益を増やすコツ
単に「売上を増やす」だけでは利益は残りません。
まずは「粗利率」と「固定費」の2つに注目しましょう。
■ 粗利率を上げる方法
粗利率の求め方は次の通りです。
「粗利率(=売上総利益 ÷ 売上高 × 100)」
売上総利益 = 売上 - 売上原価
売上と売上原価の差を広げるか、売上原価を下げる必要がある
- 現在取り扱っている商品・サービスの価格を見直す
- 高付加価値の商品・サービスを作る
- 仕入れ価格の交渉や物流コストの削減を行う
■ 固定費を下げる方法
固定費の多くは、「販売費・管理費」です。売上が多くても少なくても発生するのが固定費です。
- サブスク型の無駄なサービスを解約
- 業務効率化で残業代削減
- オフィス賃料や人件費の見直し(人件費削減は最終手段)
費用対効果や削減するとどうなるのかを考えて削減に手を付ける
やみくもに削減すると、会社の提供する商品やサービスの品質を落とすことになるので要注意。
5. PLを読む練習:簡単なケーススタディ
例:カフェ経営の場合
項目 | 金額(円) |
---|---|
売上高 | 1,000,000 |
売上原価(食材など) | 400,000 |
売上総利益 | 600,000 |
販売費・管理費 | 550,000 |
営業利益 | 50,000 |
分析分析:
粗利率: 60% → 業界平均70%を大きく下回る → 改善の余地あり
営業利益率: 5% → 喫茶店業界の平均(▲12%)よりは良いが、成長には不十分
改善策:粗利率改善に重点
- 食材ロス削減
- 粗利の高い商品の販売強化(ドリンク・デザート等)
- 価格設定の見直し
損益計算書の数字は、単なる結果の「点」に過ぎません。
しかし、過去・同業他社・計画と比較することで、初めて「流れ」や「位置づけ」が見え、具体的な改善策が浮かび上がります。
6. まとめ:PLは「儲けの見える化ツール」
「何を変えれば、利益が増えるのか」**が一目でわかるようになります。
事業初心者でも押さえておきたい3つの視点はこれです:
- 売上総利益(粗利) = 「商品・サービスの価値」
- 営業利益 = 「事業の収益力」
- 経常利益 = 「経営者の手腕」
この3つの視点で自社の強み・弱みを見つけ出し、適切な改善策を考えましょう。
★次回予告:
第2回「資金ショートを防ぐ!キャッシュフローの基本と管理術」
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