損益分岐点をやさしく解説!小規模事業者が黒字経営を目指すために使いこなす方法
損益分岐点をやさしく解説!
小規模事業者が黒字経営を実現するための使いこなし方
はじめに
経営者の皆様、毎月「いくら売れば赤字にならないのか?」「利益を出すためにはどれだけ売ればよいのか?」とお悩みではありませんか?その答えは「損益分岐点」にあります。
本記事では、損益分岐点の基本的な考え方をわかりやすく説明するとともに、飲食業、小売業、そして美容室や整体院などのサービス業における具体的な活用例を紹介します。また、損益分岐点分析だけでは十分な経営判断が難しい場合の代わりの方法や組み合わせて使う方法にも触れていきます。
損益分岐点とは?
損益分岐点とは、売上高が費用と同じになり、利益がゼロになるポイントのことです。ここを超えると利益が出始めるため、「いくら売れば赤字にならないか」が明確になります。
損益分岐点を活用すると次のことができるようになります。
- 経営状況の把握
- 売上目標の設定
- コスト削減の検討
- 価格設定の見直し
売上高と費用とが同じポイントなら、費用分の売上を稼げばそれでいいじゃないかとなりそうですが、費用の中には、売るごとにかかる費用と、売れる売れないに関係なく発生する費用とがあり、それが単純計算することを妨げています。売るごとにかかる費用が、変動費。そうでない費用が固定費です。
大雑把に分けると、損益計算書の売上原価が変動費で、販売費・一般管理費が固定費です。支払利息も固定費です。細かく分析したいときは、費用を1つずつ見て、固定費と変動費を分別していきます。
- 固定費: 売上の多い少ないに(ほぼ)関係なく毎月かかる費用(例:主に販売費・一般管理費:家賃、人件費、広告宣伝費など)
- 変動費: 売上に応じて増減する費用(例:主に売上原価:原材料費・運賃、販管費に含まれる変動費:ECの販売手数料、歩合給など)
利益がゼロになる「損益分岐点売上高」は、固定費と変動費を用いて次の計算式で求めることができます。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ (1 − 変動費率)
たとえば、月の固定費が30万円、変動費率が80%の場合、
損益分岐点は、
30万円 ÷ (1-80%) = 30万円 ÷ 20%(0.2) = 150万円となります。
つまり、150万円を超える売上があれば黒字になることを意味します。
業種別の活用方法
1. 飲食業の場合
【例:ラーメン店の場合】
- 価格設定の見直し:
1杯1,000円のラーメンを販売し、1杯あたりの原材料費が200円の場合、限界利益は800円となります。月の固定費が30万円なら、必要な販売数は30万円 ÷ 800円=約375杯です。
この数字が多すぎると感じたら、メニューの価格や原価を見直す必要があります。
【ポイント】
- 適正な価格設定と原価管理を行い、利益を確保するために必要な販売数を減らす(損益分岐点を下げる)。
- そのためには、メニューごとの原価管理(メニューごとに変動費を計算する)が必要になる。
- 売上目標を「1日あたり何杯」か具体的に設定する。
2. 小売業の場合
【例:雑貨店の場合】
- 商品単価と利益率:
商品の仕入れ値と販売価格のバランスが重要です。利益率が低いと、多くの商品を売らなければいけなくなります。
損益分岐点分析により、「この価格で販売すると、いくつ売らなければならないのか」が明確になります。
【ポイント】
- 商品ごとの利益率をしっかり把握し、無理のない価格設定を行う。
- 過剰在庫があっても損益分岐点分析には影響ないが、資金繰りを圧迫するため、資金繰り・キャッシュフローと在庫管理に注意を払う必要がある。
- 固定費(家賃、人件費など)を見直して、経費を抑える工夫をする。
- 広告宣伝費も固定費であるため損益分岐点分析だけでみると削減という判断になることもあるが、LTV(顧客生涯価値)で効果を見通し検討するとよい。
3. サービス業の場合(美容室や整体院の例)
【美容室の場合】
- 月の固定費(店舗家賃、スタッフ給与など)を仮に20万円とし、1人あたりの平均売上が5,000円、変動費は0円だとすると、損益分岐点は20万円 ÷ 5,000円=40人となります。
つまり、月40人以上の来店があれば黒字になるということになります。
この数字をもとに、集客方法やメニューの充実を検討することが大切です。
【整体院の場合】
- 固定費が15万円で、1回の施術の平均売上が4,000円の場合、必要な施術回数は15万円 ÷ 4,000円=約38回となります。
施術回数を増やすために、リピーター獲得や新規顧客の紹介制度を導入するなどの工夫が考えられます。
【ポイント】
- 個人事業主自身の人件費は会計上の経費にはならないが、事業主と同じ能力の従業員を雇った場合にかかるであろう人件費を加えて、利益計算すると企業としての本来の収益性が見える。
- 必要な顧客数を具体的な目標として設定し、集客・サービス向上に努める。
- フル稼働していると、数量を増やすために打てる手は限られるため、単価を増やす工夫が必要になる。
まとめ
損益分岐点の理解は、いくら売れば安全に経営できるかを知るうえで非常に有用です。
これらの手法を通じて、自社の収益構造をしっかり把握し、安定した経営を目指しましょう。
皆様のビジネスが着実に成長し、安定した経営を実現できることを心より願っています!
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