資金調達に強くなる!中小企業のための「決算書の見られ方」と対策まとめ
銀行融資が通らない原因と、改善のヒント
はじめに:決算書の数字が悪くても、融資の道は残されています
「銀行から融資を断られた…」「決算書の数字が悪くて資金調達は無理かもしれない」
そんな不安を抱えている中小企業経営者の方は少なくありません。
確かに、銀行や金融機関は、決算書の数字をもとに会社の財務体質や返済能力を見極めています。 しかし、実は決算書の内容だけで融資の可否が決まるわけではありません。
大切なのは、決算書から何が読み取れるか、そしてその数字をどう説明し、今後の計画をどう示せるかです。
本記事では、
- 銀行や金融機関がチェックしている「決算書の具体的なポイント」
- 数字が悪かったときに取れる実務的な対応策
- 資金調達ができなかったときの経営判断・選択肢 について、財務コンサルタントの視点からわかりやすく解説していきます。
銀行・金融機関が決算書で見るチェックポイント【B/S・P/L別】
【貸借対照表(B/S)で見られるポイント】
▷ 1. 純資産:債務超過になっていないか
▷ 2. 資産の中身に“実態”があるか(実態を資産残高に反映したときに、債務超過になっていないか)
- 売掛金:回収不能な債権が含まれていないか
- 棚卸資産:長期滞留や不良在庫ではないか
- 固定資産:帳簿価格と時価が大きく乖離していないか
- 現金:実在するか(帳簿と一致しているか)
- その他:仮払金・使途不明金・放置された資産の有無
▷ 3. 私的支出の可能性がないか
- 高級車や投機的資産が会社名義で計上されていないか
▷ 4. 役員貸付金の多さ
- 「社長が会社の金を使い込んでいる」と見られる可能性
▷ 5. 役員借入金の存在
- 実質的に“資本”と見なされ、債務超過でも評価が変わる場合あり
【損益計算書(P/L)で見られるポイント】
▷ 1. 売上の推移(3年分)
- 増加傾向であれば赤字でも前向きに評価される
- 減少傾向であれば、理由と改善の具体策を求められる
- 借入金の月商倍率:3ヶ月以内が理想、6ヶ月超は注意(中央値は2ヶ月)
▷ 2. 営業利益・経常利益
- 本業で利益が出ているかどうか(営業赤字は要注意)
▷ 3. 償却前利益(=当期純利益+減価償却費)
- 借入の元金返済原資になるため、金融機関が重視する
- 債務償還年数(借入金 ÷ 償却前利益):5〜10年が健全、水準が高ければ理由説明が必要
ポイントをクリアできていない場合の対応策
● 現状を正確に把握する(内部・外部分析)
- 売上・利益の減少理由
- 不採算商品の構成比率
- 顧客や市場の動向(競合との差異)
● 改善の方向性を言語化する
- どこをやめて、どこに集中するか
- 粗利率改善、新サービス投入、人員再配置など
● 資金使途を明確にする
- 借りたお金で何を行い、どう利益・返済に結びつけるか
● 説明できるかが勝負
- 「なぜこの数字なのか」
- 「どう変えていくのか」
- 「その変化が起こる現実的な根拠は何か」
現時点の数値が良くても、“未来の話”は必要
たとえ財務内容が良好でも、金融機関は次の視点を求めています:
- 今後どこを目指すのか(成長戦略・事業の展望)
- 借りたお金の具体的な使い道
- 返済にどうつながるか(中期的な数字の見通し)
資金調達がうまくいかなかった場合の対応ステップ
● ステップ1:他の金融機関に持ち込む/他の資金調達手段を検討
- 政策金融公庫
- 保証協会付き融資
- 地銀・信金・信用組合
- クラウドファンディング
- 社債(少人数私募債)や出資を知人や取引先、エンジェル投資家から直接調達
※補助金・助成金は、使ったお金に対して支給されるものなので、資金調達ではありません。
● ステップ2:内部でできることを徹底する
- 在庫処分・仮払金整理
- 未回収債権の取り立て、入金サイト(期日)の短縮
- 支払いサイト(期日)の延長
- 人件費や間接費の見直し、リストラ
- 不採算部門の撤退や事業譲渡
● ステップ3:廃業・清算の選択肢も考える
- 手元資金が残っているうちに“引き際”を判断するのも責任ある経営判断
- 借入先との誠実な相談・報告を忘れずに
まとめ:決算書は“判断の材料”にすぎない
金融機関は、決算書の数字だけで判断しているわけではありません。「なぜそうなっているのか」「どう変えていくのか」を言語化できることも、資金調達においては重要です。
あなたの決算書には、将来への判断材料が詰まっています。しっかりと準備をして、堂々と資金調達に臨みましょう。
何か一歩でもヒントになれば幸いです。
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